「99%実話」などと言われ、日本の経済界を騒然とさせた『トヨトミの野望』(講談社)の続編となる『トヨトミの逆襲』(小学館)は、愛知県内に本社を置く世界的自動車メーカー「トヨトミ自動車」の豊臣統一社長が、「100年に一度の大変革」の時代を迎え、異業種から次々と巨大企業が参入する自動車産業で生き残りを図るため奮闘する姿を描いた経済小説だ。昨年末に刊行するや反響を呼び、著者の覆面作家・梶山三郎とはいったい誰なのか「犯人捜し」が始まっており、面談はNG。今回、梶山氏への質問書を担当編集者に送り、その質問に梶山氏に書面で回答してもらうというやりとりを何度か繰り返したことをはじめにおことわりしておく。梶山氏はこの物語で何を伝えたかったのか。
あの大企業の社長は「裸の王様」?
『トヨトミの逆襲』が描き出す自動車業界の今
『トヨトミの逆襲』では、世界的な自動車メーカーであるトヨトミ自動車において、創業一族の経営者・豊臣統一の思惑を汲み取ることに長けた「忖度族」だけが重用され、統一に異を唱える者、耳に痛い意見を突きつける者は容赦なく左遷されます。