「一流」になるために磨くべき、「人間関係」・「仕事」・「運」・「お金」・「自由」・「生き方」とは。映画監督、ライフスタイル・プロデューサー、生活探検家と、幅広く活躍する浜野安宏(はまの・やすひろ)氏による「提言」を、書籍『一流の磨き方』より、一部、抜粋して紹介する。「本物」を知る人だけが、本物になれる!
ギャンブルの真理は、
「自分の精神とのにらみ合い」
私は、仕事も遊びも、「マインドフル」のほうが楽しいと考えています。
マインドフルとは、私の感覚では「自分の心の状態に注意を向けていること」だと思っています。
私は、ハイローラー(高額な賭け金で遊ぶギャンブラーのこと)と呼ばれる人たちと、アメリカのカジノに行ったことが、何度かあります。
強いハイローラーに共通しているのは、「欲をかかないこと」です。
私はハイローラーのひとりから、次のようなアドバイスをもらいました。
「一度に大儲けしようとせず、10ドルを20ドルにして、20ドルを40ドルにして、40ドルを80ドルにして……と、少しずつ儲け金を積み上げていくことを考えなさい」
ハイローラーと聞くと、一度に高額な賭け金を投じるイメージがありますが、実際は、そうではありません。最初の賭け金は、一度に、100ドル程度でした(それでも十分に高額ですが)。
そして、100ドルを200ドルに増やし、200ドルを400ドルに増やし、400ドルを800ドルに増やし…、と少しずつ増やしていき、5000ドルまで増やしたら、今度は5000ドルを1万ドルに増やすのではなく、「もう一度、100ドルから賭け直す」のです。
「入ったら、出さない」
「あるところまで儲けたら、一度、引っ込める」
のが、ハイローラーの「鉄則」でした。
私だったらきっと、自制心を失うはずです。「よし、5000ドル入った! じゃあ次は1万いけー!」と欲をかいて、結局は、全部、失ってしまうでしょう。
ハイローラーがカジノに夢中になるのは、ギャンブルが「マインドフル」な遊びだからです。
ギャンブルの真理は、「自分の精神とのにらみ合い」です。チップを賭ける瞬間に、「勝負に出るのか、出ないのか」自分の精神力が試されます。
彼らにとって、ギャンブルは「一か八か、運を天に任せるもの」ではありません。「自分の感情との対話で決まるもの」なのです。
勝っていても、決してはしゃがず、客観的に現実を直視して、自制心を働かせることができるかどうか。「大勝負に出たい」という葛藤を抑えることができるかどうか。
逆に、負けていても、弱気にならず、萎縮しないで、賭け続けることができるかどうか。
強いハイローラーは、このヒリヒリした「自分の精神との戦い」を楽しんでいて、儲けること以上に、「自分に勝つこと(欲や葛藤に勝つこと)」に、喜びを見出しているようにも思えます。
ギャンブルが、「自分との戦い」であるのなら、私にとってのギャンブルは、「釣り」であり、「仕事」です。
釣果も、仕事の成果も、「運」で決まるのではありません。どちらも、「自分の心との向き合い方」で決まります。
ビジネスでは「効率」が求められがちですが、それでは、本当の「結果」は得られません。
「どうすれば結果が出るのか」を考え、試行錯誤を繰り返しながら、少しずつ、結果に近づいていく。自分の心の状態に注意を向けて、マインドフルに仕事をする。
「ブレることなく、自分を信じて行動し続けること」でしか、大きな成果は得られないのです。