「頑張っているあなたを見ていますよ」という言葉で救われることも
占い師にみてもらう人は、「いろいろとご苦労されてきたんですねえ」という言葉を聞くだけで癒されるといいます。
「私だってたいへんなのに」
「私だってこんなに頑張っているのに」
こうした思いを主張できず、誰かを支えるために黙々と頑張っている人は、普段からその様子を見ている上司などから言葉をかけられるだけで救われることがあります。
「○○さんが3ヵ月も休んでしまっているから、あなたも大変ですよね」
「あなたが頑張っているのを私は知っていますよ」
心理学の用語に「承認欲求」という言葉があります。これは、人間の持つ「誰かから認められたい」という欲求です。
一昔前であれば、積極的に承認されなくても、頑張ってさえいれば誰かが認めてくれるだろうという安心感がありました。あるいは、誰も見てくれなくても自分は頑張っているのだからと、自分で自分を承認する考え方がありました。
それがいまは違ってきたかもしれません。「見ていますよ」と言われなければ、周囲に承認されていないことと同じです。自分で自分を承認するという考え方も失われつつあります。
震災後「支援の輪」という言葉が広がりを見せています。
支援の輪とは、被災した人をみんなで支えあっていこうという精神でしょう。その精神はいま日本のいたるところで効果を発揮しています。
一方で、自分のことで一杯一杯の状況にある人も多く、ちょっとしたことでイライラしたり人に寛容になれなかったりする情況も見られます。いまはみな余裕がないんだと思います。
皆が頑張っていて余裕がない状況で、支援の輪を広げるには「地道に支えてくれるあなたを、私は見ていますよ」とお互いがお互いを積極的に認め合うことが重要になります。誰もが自分は頑張っていると思っている。その上で、周りの他の人も同じように頑張っていると思える余裕を残しておきたいものです。そして、どんな人も大変だねという「認め合いの和」が「支援の輪」を強固に支えることになると思います。