厳しい制約を乗り越え
最高峰の自信作を完成

 トランスフォーマーは今年で映画化10周年。重点商品がめじろ押しの中で、大西が手掛けた最新かつ最高の自信作が「MPM-3バンブルビー」だ。

 開発には難しい要請が突き付けられた。最上位シリーズで初となるハズブロとタカラトミーのダブルネーム、世界共通仕様にし、対象年齢を15歳以上から8歳以上に引き下げるというのだ。

 海外と日本の玩具では使える素材や、客の好みも異なるので、通常は仕様を少し変えている。例えば日本では透明パーツにポリカーボネートという素材を採用しているが、これが海外だと使えない。

 しかし、ダイカスト(金属)パーツをボディーに採用することにはこだわりたかった。ファンから「持ったときの重量感が欲しい」とかねて要望されていたからだ。

 どちらもコストの問題が難航を極めたが、他のパーツや素材を工夫することで何とかクリアした。

 それから子供でも少し頑張ればハイクオリティーなバンブルビーを楽しめるよう、変形のプロセスをさらに考え抜き、工夫を重ねた。

 ファンの求めるクオリティーとコスト、子供でも大人でも楽しめる変形プロセス、こうした相反する要素の両立を、大西は持ち前のチャレンジ魂で成し遂げた。

 夢は「世界中の人に幸せを届けるプロダクトを作り続けること」。大西が担当した商品を、小遣いをためて買ったという小学生の様子をSNSで見つけたとき、「玩具は必需品ではないが、人の記憶に残るものだ」と実感した。「トイデザインの奥深さを、もっとたくさんの人に知ってもらいたい」。その語り口は情熱で溢れている。(敬称略)

(「週刊ダイヤモンド」編集部 柳澤里佳)

【開発メモ】MPM-3バンブルビー
 最新・最高の変形技術を詰め込んだ最上位「マスターピース」シリーズ。シボレーニューカマロからトランスフォーム(完全変形)する人気キャラクター、バンブルビーのプロポーションを追求した。余分なパーツが後ろ姿に響かないような設計にし、ダイカストパーツを採用したことで重量感や高級感もかなえた。メーカー希望小売価格は1万円。