マンガやゲーム、原画にフィギュア、ブリキの玩具など、多彩なコレクションの売買で全国展開するサブカルチャーの巨人・まんだらけの公式サイトには、「生前見積」というページがある。自らの死を見据えたマニアを対象にしたこのサービス、どれくらいの需要があるのか。同社の創業社長と副社長に話を聞いた。
人生をかけて集めたお宝が
死後にゴミ同然に扱われる恐怖
興味のない側からみると、単なる古ぼけたオモチャだったり、よく知らない昔のマンガ雑誌だったりするものでも、その道に通じる人の間では数百万円で取引されるということがある。いわゆる「マニア」「オタク」と呼ばれる人たちにとって、それらは人生をかけて収集した、まさに「宝の山」だ。
そうしたニッチな価値を持つサブカルチャー系の古書古物を扱っているのが、中野ブロードウェイに本拠地を置くまんだらけだ。
1980年に創業した1軒の古書店は、87年の株式会社化と同時に全国展開を進め、2000年には東証マザーズ上場、15年には東証二部へ市場変更するなど大きく成長。売上高は年間90億円を超えている。
そのまんだらけが16年3月、「生前見積」ページを開設した。「死期を悟り、生前のコレクションの行く末を考える」お客たちを対象としたサービス窓口で、査定は無料。1点でも、コレクション全体でも応じてくれる。持ち込みだけでなく出張査定も相談でき、送料は依頼者負担だが、郵送でのやりとりも可能だ。将来、必ず買い取りを依頼しなければならないといった決まりごともない。
代表取締役の古川益蔵氏は、生前見積ページの開設について「死を意識するようになって、人生をかけて蒐集したお宝を価値の分かる誰かに引き継ぎたいという人や、ひとまず財産価値を確かめておきたいという思いがある人に『こういう窓口もありますよ』と提示したかったんですよ」と語る。
前述のように、マニアのお宝は周囲の人々に価値を理解されないことが多い。「人生かけて集めたコレクションが、価値を知らないままでいる家族に捨てられてしまう。現在でもそういうケースがほとんど。肌感覚だと90%以上が該当するんじゃないかと思います」(古川氏)
図書館に寄贈する場合も、ゴミ同然に扱われることが珍しくないという。そうしたなか、コレクションの価値を証明したうえで、買い取りまで相談できる窓口は貴重なのだ。