承認を表現した結果として褒めることにつながることはあります。しかし、褒めないと承認したことにならないというものではありません。褒めるに値しないと思っているのに褒めてしまったら、それはウソをついたことになってしまうので、むしろ関係性を損なうリスクすらあります。

承認とは「観察して得られた事実を
言葉にして伝えること」

 では、ここであらためて承認とは何かということについて、1on1の場面に照らして解説を試みようと思います。さきほど登場したAさんが、部下を承認するとしたらどんなやり取りになるか、以下、対話例で表現してみたいと思います。

Aさん(以降「A」):「今日の1on1では、何について話しますか?」

部下B(以降「B」):「S社への提案書についてなんですが、フィードバックをもらえますか」

A:「あ、さっきメールで送ってもらったドラフトについてですね」

B:「はい、不十分なところをご指摘いただきたいのです」

A:「わかりました。ざっと目は通しましたが、がんばりましたね。努力の跡が見られます」(※1)

B:「ありがとうございます」

A:「一定の水準には達していると思いますが、Bさんとして、特に不安を感じているのはどこですか?」

B:「提案根拠を説明するのに材料を詰め込み過ぎてるんじゃないかと」

A:「なるほど。私も少し感じました。どうして絞らなかったんですか」