エスメラルダは楽しいから乗りたい、というクルーの声も多い。

「とはいえ、いつも勝つわけではないし、じつはヨットって 100回乗ったら97回はもうやめようと思うくらいしんどいことも多くて、今もしょっちゅう船酔いです。

 あと1回はまあまあ、そして残りの2回で、世の中にこんなに美しいものがあるのかと思うシーンに出くわします。夕日の中で後ろを振り向くと、 100を超えるヨットが地平線にずらりと並んで茜色に輝いている……言葉を失うくらい幻想的な情景です。

 そんな時間を経験すると、また乗りたいと思ってトレーニングを再開する。今も、最強の60代アスリート親父を目指して打ち込んでいます(笑)」 

 海の男たちと培った植松さんのスポーツマンシップとライフスタイルへのこだわり、ビジネスへの姿勢は、ヨットやスポーツと違う世界にいる人にとっても、豊かな生き方を目指すうえで大いに参考になるのではないだろうか。

COLUMN02 ヨットレース
- オリンピック競技もある -

 ディンギーかクルーザーかによってレース方法は多少変わってくるが、どちらの場合も1日でレースを終える場合は、海面に設置したブイを指定された順番に回航してフィニッシュ順位を競うことになる。オリンピックやシリーズレースでは、何本かのレースの総合点で最終順位を競う。

 一方、クルーザーではオーバーナイトといって1日以上のレースを行うことがある。これは外洋を走ることが多く、島を回航したり、定められた目標物を目指したりするが、フィニッシュ順位を競うことは上記と同じ。

 文中の植松眞さんの「エスメラルダ」は主にこのタイプのレースで活躍した。ちなみに、日本で一番長いクルーザーレースは小笠原から相模湾を目指す500マイル(約900キロメートル)の小笠原レースだ。

文=牧野容子写真=湯浅亨(人物)、平井淳一(ヨット)