いよいよ2026年がやってくる。来年はどうすれば、投資で成功できるのか? そこで今回は、『お金の大学』の両学長が推薦するベストセラー『THE WEALTH LADDER 富の階段 ── 資産レベルが上がり続けるシンプルな戦略』と、「『金持ち父さん 貧乏父さん』以来の衝撃の書!」と絶賛されている『JUST KEEP BUYING 自動的に富が増え続ける「お金」と「時間」の法則』の著者ニック・マジューリ氏に緊急インタビュー。親日家の著者は何を語るのか?(取材/国際ジャーナリスト 大野和基、構成/ダイヤモンド社書籍編集局)
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なぜ「複利」の概念が重要なのか?
ニック・マジューリ(Nick Maggiulli)Ritholtz Wealth Management社の最高執行責任者兼データサイエンティスト
同社の業務全体を監督し、ビジネスインテリジェンスの観点から有益な分析を行っている。ウォール・ストリート・ジャーナルやCNBC、ロサンゼルス・タイムズなどに記事を寄稿。緻密なデータに基づくパーソナルファイナンス関連の人気ブログ「OfDollarsAndData.com」を執筆。スタンフォード大学卒(経済学学位)。ニューヨーク市在住。著書に日本で20万部(全世界46万部)を突破した『JUST KEEP BUYING 自動的に富が増え続ける「お金」と「時間」の法則』(ダイヤモンド社)がある。
――本書『THE WEALTH LADDER ウェルス・ラダー』の「早い段階の行動が、遅い段階の行動よりはるかに大きな影響をもたらす」という言葉が印象的でした。176ページの図の見出しには、「最終資産の半分は『最初の10年の投資』によるもの」とあります。
この「大きく始めて、後でストップ」の複利の効果の考え方は、多くの日本人にとって、なじみがありません。なぜ複利が重要なのでしょうか?
ニック・マジューリ(以下、ニック) 投資をするにあたり「複利の概念」は非常に重要です。なぜなら、すべての行動がすべての時間で同じ影響を生むわけではないからです。
投資の世界では、キャリアの早い段階でどれだけ貯蓄・投資するかが、その後の人生に非常に大きな影響を与えます。
お金が成長する年数が長ければ長いほど、複利の力が大きく働くからです。
複利のとても簡単な例を挙げましょう。
仮に「今日投資した1000円が、40年後に4000円になる」とします。つまり、これは今日1000円を消費せずに投資すれば、40年後に4000円が手に入るということでもあります。インフレの影響を無視すると、将来は今の4倍のものが買えるイメージです。
たとえば、今日10万円のアクセサリーを買ったとしましょう。この場合、今日10万円を投資していれば、40年後に40万円になっていたはずです。
つまり、今日10万円を使うということは、40万円分の将来の購買力を失っているとも言える。これが複利の考え方です。
これは、「今、お金を使うと、将来そのお金が生み出すはずだった成長も手放している」という考え方です。
もし適切に投資され、妥当なリターンを上げられれば、お金は自分で増え、その増えたお金がさらにお金を生む。
――そんなことを40年間続けていくわけです。
ちなみに、この成長率は年率3.5%程度で、決して驚くような高い利回りではありません。40年で4倍というのは長期的に見ればむしろ控えめです。
しかし、インフレ調整後のリターンとしては長期的に十分良い水準です。
大富豪バフェットのクレイジーな習慣とは?
――雪玉が山の頂上から転がり始めると、ふもとに到達する頃にはとても大きくなっている、あのイメージですね。
ニック そのとおりです。
ウォーレン・バフェットについて書かれた『スノーボール(改訂新版)ウォーレン・バフェット伝〔上・中・下〕』(日経ビジネス人文庫、原題:The Snowball)という素晴らしい本があります。
著者はアリス・シュレーダー。とても良い本なのでおすすめです。
バフェットが物事をどのように考えていたかがよくわかります。
彼は、前日に株式市場が下落していたら、翌朝にマクドナルドでの食事代を少しでも節約するようにしていました。
「1円でも多く残せば、将来もっと大きく増える」と考えていたからです。
億万長者になった後でさえ、長年こうした“クレイジー”な習慣を続けていたわけです。そして、これこそが彼が世界有数の富豪になった理由でもあるのです。
(本稿は『THE WEALTH LADDER 富の階段 ── 資産レベルが上がり続けるシンプルな戦略』の著者ニック・マジューリ氏へのインタビューをもとに構成しました)



