45年前、“リアルタイムエンタープライズ”実現のために、ドイツのIBM元社員5人が創業したSAP。そのリアルタイムエンタープライズはインターネット、クラウド、IoT、それにAIなどの技術革新により、今まさに現実になりつつある。SAPはそのためのツールセットとして「SAP Leonardo」を発表、SAPジャパンの福田譲代表取締役社長はこれを、イノベーションが苦手な日本企業にとって大きなチャンスと見る。
コストから価値を生むITヘ
「舞台は整った」――福田社長は5月、米フロリダ州で開催されたSAPの年次イベント「SAPPHIRE Now」会場で、そう述べた。
SAPは創業時から業務アプリケーションに徹してきたが、2010年、システムのメモリで処理をすることで高速化を図るインメモリ技術「SAP HANA」を発表、2015年にはデータベースにHANAを採用する第4世代のERP「SAP S/4 HANA」を送り出した。SAPは旧バージョンの機能のS/4 HANAへの移行を進め、2017年春にはそれまで「HANA Cloud Platform」として提供してきたPaaSを、「SAP Cloud Platform」とした。
企業はこれを利用してアプリケーションの開発、実装が可能だ。SAP Cloud PlatformはAmazon Web Services(AWS)、Azure、それにGoogle Cloud Platform(GCP)といったパブリッククラウドにも対応している(Azureはベータ、GCPはデモ段階)。
冒頭の福田社長の言葉は、基盤技術は整い、顧客もその重要性について十分理解しているという状態を表現したものだ。
何のための舞台なのか。ITが成果を出し、コストセンターからビジネスバリューを出すITとしての舞台だ。「(ITが)動くこと、そのものには価値はない。在庫を減らす、顧客離反率を減らす、売り上げを増やすといったビジネス上のバリューを出す領域が今後のITの主戦場」と福田社長。