今回の番組、その狙いはおもしろいのだが、表現や分析に粗さが目立つ。「40代ひとり暮らしが日本を滅ぼす」という表現はたしかにバズりやすい表現だが、伝えるべきことを正確に伝えていない。正しくは「40代ひとり暮らしが日本を滅ぼす」のではなくて、「心ならずも40代ひとり暮らしを強いられる人生を歩んでいる人たちを生み出してしまった日本社会が日本を滅ぼす」のだ。

 ちなみに番組では触れていないが、40代ひとり暮らしが高齢化したときに必要となるのは、「コミュニティ」だと思う。つまり、大きな問題は彼らの孤立化であり、それを防ぐにはコミュニティの形成しかないからだ。ただし、社会課題の文脈でコミュニティと言うとすぐに地域コミュニティの話になるが、そうではないアイドルコミュニティやゲームコミュニティなどの文化的な価値観でつながったコミュニティをいかに行政サービスに組み入れていくか、ということだ。

 ただ、このようなカルチャーコミュニティは行政区分とはほとんど関係がない分野なので、行政が取り組もうとしてもなかなか難しく、そこがネックとなる。しかしいまの40代も、あと20年で60代。社会保障が否応なしに必要となる年代となるため、いまから行政もカルチャーコミュニティの形成に、真剣に取り組んでおいたほうがいいだろう。

 というわけでこの番組、試みとしてはおもしろいし意味のある企画なのだが、分析と表現が甘いので、伝えるべきことが伝えられてないのがとっても残念だ。噂では、番組制作にあたって数多くの専門家の意見を聞いたそうだが、提言の内容が消費行動に絡むものが多い割には、マーケティングの専門家が関与した臭いがあまりしない。この企画、今後もシリーズ化するそうだが、ぜひベテランマーケターも企画ブレーンに入れたほうがいいと思う。

 AIに関しては、どこまで人間の仕事を奪うのかなど、多くの人が気になるところだと思うが、この番組を見た限りでは、「相関関係からなにかの意味を見いだす分析と洞察」に関しては、当面の間は人間の優位性は揺るがないように思える。もうすでに始まっているAI時代に人間はなにをすべきか――それを明らかにしたという意味では、この番組は大きな役割を果たしていると思う。

(ソーシャルビジネス・プランナー&CSRコンサルタント/株式会社ソーシャルプランニング代表 竹井善昭)