海運業界に2020年問題、環境規制対応に「決め手」見つからず世界初のLNG燃料供給船は、今年ようやく稼働を開始したばかりだ。同船は、日本郵船やENGIE SA、三菱商事などが共同で設立した合弁会社が保有する 写真提供:日本郵船

 海運業界が頭を抱えている。頭痛の種は、国際海事機関(IMO)が決めた大気汚染防止をめぐる規制強化だ。

 2020年1月から船の燃料油中の硫黄分濃度の規制値が厳しくなり、多用されてきた燃料油がそのままでは使えなくなる。すでに、北海などの指定海域ではより厳格な濃度規制が敷かれているが、当規制は一般海域(全海域)を航行する12万隻強の船が対象になるというから、インパクトは絶大だ。

 規制強化への対応手段は三つある。(1)LNG(液化天然ガス)などの代替燃料を使う、(2)従来の燃料油を使い、排気ガス洗浄装置(スクラバー)を搭載する、(3)従来よりも硫黄分の少ない燃料油(適合油)を使うの三つだ。

 どれを取ってもコスト増は必至。ただ、海運業界をほとほと困らせているのは、これら手段のどれが最善策なのか、規制強化が決定して9カ月たった今も全く見通しがつかないことにある。