多くの日本企業では、中長期経営計画を作成している。その度に、現場側は苦労して重厚長大な計画を作成するが、外部から見れば、どこもあまり変わり映えしないもので、労力の割には有効性という点で疑問を抱くような計画が少なくない。どうしてこのような中長期経営計画ができてしまうのか。問題点を指摘したい。(アクセンチュア マネジング・ディレクター 中野豊明)
多くの日本企業が、3年もしくは5年に一度、中長期経営計画を立案している。会社によって、「中期経営戦略」だったり「ビジョン2020年」だったりと、呼び方はさまざまだが、目的はその期間で会社が進む道筋を目標とする売上や利益率などの経営指標とともに定めるものだ。
立案の方法は、会社によって異なる。経営トップが自ら陣頭指揮を取って深くコミットしながら作成する、経営企画部がアウトラインを決めて事業本部が詳細化する、もしくは事業本部が主体的に立案をしたものを経営企画部が取りまとめる、などだ。
それに対して、「現場側の苦労」は、どこの会社でも概ね同じである。目新しい新機軸をどのように定めるか、全社経営目標とする数字を自部門でいかに達成するか、もしくはオーバーコミットにならないように塩梅のいい目標をどの辺りに定めるか。いずれにしても、中計の作成期間中は部内のキーメンバーを集めて侃々諤々の会議が日ごとに繰り返される。
中期経営計画の実態
どれもほとんど変わり映えがしない
確認しようと思えば、どこの会社の中計でも、その会社のホームページに掲載されていることが多いにもかかわらず、多くの場合、他社の中期経営計画を数多く熟読するような機会は少ないはずだ。