“明敏な同伴者”を得るために

人間関係に疲れるのは、相手を変えようとしても思いどおりにならないことが原因です。

相手を変えたいと思うのは、依存したい気持ちや相手に理解してもらいたい欲望が強いとともに、嫌われたり否定されたりすることへの恐れがあるからです。

それを理解した上で、人間関係で悩んでいる相手やコミュニティからいったん離れ、支配したい欲望や相手に依存したい気持ちを手放してみましょう。

また、じつは41項目の中に一文だけ「犀の角の……」で終わらない「もしも汝が、〈賢明で協同し行儀正しい明敏な同伴者〉を得たならば、あらゆる危難にうち勝ち、こころ喜び、気をおちつかせて、かれとともに歩め」というものがあります。

ブッダは、悩みの原因となる「他者とのつながり」を断ち切るために孤独と向き合うことを勧めるとともに、優れた同伴者(友)を得ることも勧めているのです。

つまり、一見矛盾しているようにも思えますが、「真に独立した人格を形成するためには、両方が必要だ」と言っているのです。

人間関係に悩んでいる人は、ときには仲間から離れて「独りで歩む」ことで自分を見つめてみましょう。

そこではじめて、“明敏な同伴者”と出会うことができ、本当の「人間関係」を築くことができるのではないでしょうか。

●チェックポイント
ときには独りで行動することを心がけていますか?
人間関係に悩みながらも常に人とつながっていませんか?