多くの人が抱えている問題のほとんどは、仏教で語られる「煩悩、執着、偏見」を捨てることで解決します。ブッダのエピソードや名僧たちの言葉が、あなたの悩みを消し、もっとラクな生き方を教えてくれます。最新刊の『捨てる力 ブッダの問題解決入門』では、2500年の歴史に培われてきたブッダの教えに学びつつ、「こういう解釈をすることで悩みが解決し、人生が好転する」といった、問題解決法を提案していきます。多くの事例を紹介しながら、ビジネスパーソンが抱えるお金、人生、人間関係、家族、幸運などについての悩みを、仏教的視点で解決する38の方法です。
1978年、三重県生まれ。立命館大学大学院(理工学研究科 環境社会工学専攻)修了後、大手建設コンサルタント会社に勤務。結婚し、子どもも生まれ、順風満帆な生活を送っていたが、上司やクライアントの厳しい要求など過度のストレスから、死を考えるほどのうつ状態に陥る。やがて家庭が崩壊し、2歳の子を抱えたシングルファザーとなる。どん底の中、祖母の「人生はよくなるようにできている」という言葉をきっかけに、さまざまな宗教を学ぶ中で、仏教に強く惹き付けられる。経典や書籍を渉猟するとともに、仏教の指導者から5年間にわたって指導を受け、ブッダの教えを実践することで、どん底状態から復活する。現在、ブッダの教えや仏教の考え方を使って、多くのクライアントが抱える悩みを解決している。
【中道】
がむしゃらにがんばっても成功するとは限らない。何事もバランスを取って対処しなさい。
なまけるのは論外だとしても、一般的には努力すればするほど素晴らしいと思われますし、一生懸命がんばるのをよしとされがちです。
しかし、ブッダは、「両極端の考え方や行動は避けよ」と教えました。
これを「中道(ちゅうどう)」と言います。
ブッダは自分自身の修行経験を通して中道の大切さを知り、楽に流されることはもちろん、極端にがんばりすぎることも戒めたのです。
その一例が、『パーリ聖典』の中に、ブッダの弟子ソーナ・コーリヴィーサのエピソードとして登場します。
ソーナは、足から血を流すほどの厳しい修行を続けたものの、なかなか悟りを得られず、ブッダに「自分は仏教には不向きです」と教団を去る決意を告げました。
するとブッダは、彼に向かってこう言いました。
「おまえは琴を学んだことがあるだろう。
琴は糸を張りすぎても、緩くても、よい音は出ない。ちょうどいい張り方をして、初めてよい音が出るものだ。
悟りに至る道もこれと同じである。なまければ道を得られず、張りつめて努力してもけっして悟りには至らない。
人は努力する程度を考えなければならないのだ」
ソーナはこの教えを受け入れ、やがて悟りに至ることができました。