病気が教えてくれたこと

ホテル勤務のLさんは、子どものころに完治したはずのぜんそくが再発してしまいました。

咳が止まらず、階段を上り下りするだけで喉がヒューヒュー鳴ります。

夜に咳の発作が始まると眠ることもできません。

ついには、医師からしばらく休養するよう命じられてしまいました。

しかし、家で安静にしているものの、数か月たっても病状は改善しません。

思いどおりにならない身体にイライラして、家族に当たることも増えました。

そんなある日、同僚から病状を気づかう電話がありました。

「病気になったのは、立ち止まって考える時期なのかもしれないよ。仕事のことは気にせず、ゆっくり休めばいい」

Lさんは改めて、今までの自分を振り返ってみました。

すると、
・家にいるより職場にいる時間のほうが長かった
・自分が休むと業務が回らなくなると思い込んでいた
・病気でもしなければ休みを言い出せないほど臆病だった

といったことが次々と脳裏に浮かび、病気は自分が引き寄せた面もあると気づきました。

そこで、病状が改善しないことを悲観したり、焦ったりするのはやめ、今の状態を「あるがまま」に受け止めることにしました。

この一種の開き直りが功を奏したのか、病状が好転しないことへのストレスが消えたせいなのか、翌日から、Lさんの容体は徐々によくなっていったのです。