大道芸人から学んだ「理由」を伝える大切さ

 私は、この大道芸人がなぜこれだけ観客を動かせるのかを考えました。そしてその理由は、とてもシンプルでした。それは、「お客さんが動く理由」をしっかりと伝えられていることです。ただ、「前に来てほしい」という想いを伝えるだけでなく、お客さんにとって「なぜ、前に行かないといけないのか?」という「理由」をしっかりと伝え、お客さんを動かしていたのです。

 私がお客さんを体験に導けなかった原因は、まさしくこれでした。理由を伝えてどう自然に動かすかが、私には足りていなかったのです。後日、大道芸人から学んだ「理由を伝える」方法を実践しただけで、驚くほどお客さんが受け入れてくれるようになりました。

 動いてもらう理由を伝える――。そう聞くと、「なんだ、そんなことか」と思うかもしれません。しかし、これを実践できていない人はかなり多くいます。たとえば、以前私のもとにカーディーラーの方から、「試乗せずに帰ってしまうお客さんが多いので困っています」という相談がありました。

 そこで、どのようにお声がけしているのかを聞いたところ、「試乗できますが、どうされますか?」と聞いているとのこと。これでは、断られるのは当然です。ここでもやはり、試乗する「理由」を伝えていなかったのです。そこでこのカーディーラーには、試乗をオススメする「理由」を入れながら、次のように打診してもらうようにしました。

この車種は運転したときの○○がいままでとまったく違います。実際に運転されると違いがよりわかりやすいので(理由)、少しだけ運転してみませんか?」

 すると、1か月も経たないうちに、断られることが大幅に減ったという報告をいただきました。「今日は試乗する気がなかったのに、乗ったらすごく気に入ってしまった」と、そこから契約につながったお客さんもいたとのことです。

 このように「理由」を伝えるだけで、あなたのオススメする行動をお客さんにやってもらうことができます。セールスでは、こうした「ちょっとした工夫」を知っているかどうかで結果が大きく変わってきます。拙著『なぜか即日即断してしまう 105人連続契約の秘密』では、こうしたセールスにおける「ちょっとした工夫」を多数掲載しました。ぜひ本書で、圧倒的な成果を残すための“ワンランク上のテクニック”を身につけてください。翌日から、あなたの成果は段違いに変わってくるはずです。