圧倒的な成果には秘密があった――。「即日契約数が月7名から月50名に」「1億円以上の成果があがった」「契約者数が前年の2倍に」「高額商品が次々に売れた」……多種多様な業界の契約率を改善し続けるセールスコンサルタント林佳範氏の処女作『なぜか即日即断してしまう 105人連続契約の秘密』が発売となった。多くの企業で成果をあげ続ける彼は、いったいどのようなノウハウを教えているのか。林氏に、10年以上、3万人以上の経営者・スタッフに教えてきた契約率アップのノウハウについて教えてもらった。
お客さんを動かす天才との出会い
「車を見に来たお客さんが、試乗してくれない」「説明会に来た方が、体験レッスンに参加してくれない」「ジムの見学者に体重・筋肉量測定をすすめるが断られる」「学習塾での説明会で、教室内への誘導がうまくいかない」……こうした「お客さんを動かしたいけど、うまくいかない」という悩みを多くの現場で耳にします。
実は、私もその悩みを抱えていた一人でした。私の勤めていたフィットネスジムでは、最新マシンの体験をすすめていました。実際に体験することで、お客さんの欲求に火をつけられるからです。しかし、オススメしても、けっこうな割合で「大丈夫です」と断られていたのです。「体験すると、売り込まれそう」「体験するのが恥ずかしい」といったお客さんの心理が働いていたのでしょう。こうした売り込みのタイミングを逃していたことが、契約率に悪影響を与えていたことは明らかでした。
そんなとき私は、ある大道芸人に出会いました。彼は、お客さんを動かす天才でした。大道芸人は、最後のクロージング(お金を入れてもらう)までに、どれだけ前のほうに来てもらえるかで、その日の売上が大きく変わります。彼は、お客さんをできるだけ前のほうに誘導するために、銀のスプーンで床をコンコンと叩きながらこう言うのです。
「後ろの方、この銀のスプーンが見えますでしょうか? 本日の芸はこのスプーンが見えないとお楽しみいただけません。ぜひ見える位置までどうぞ」
この言葉を聞いた観客たちは、こぞって前へ移動しました。大道芸人は、見事に観客を動かし、売上を大きく上げることに成功したのです。