そんな折、新入社員として20代前半のC子が入社してきた。早速、営業課に配属され、A専務の下で働くことになった。C子は明るい性格で、容姿は色白で少々ぽっちゃりしている。これがA専務の女性に対する好みと合致していた。

歓迎会をきっかけに、
専務が新人にセクハラ

 C子が入社してから2週間後、会社近くの居酒屋で歓迎会が行われた。時間が経過し、宴席がますます盛り上がってきたころ、A専務は向かいの席に座っていたC子を側に呼び寄せた。そして、いきなりC子の手を握りささやいた。

「C子ちゃん。君の手は白くてふくよかで、かわいいね~」

 そして、「もっとこっちへおいでよ」と嫌がるC子を抱きすくめた。さらに矢継ぎ早に、「宴会が終わったらデートしようよ」と誘った。

 C子はびっくりしたが「どうせ酒の席のことだから」と思い、我慢してA専務に付き合った。歓迎会が終了するや否や、ネチネチ絡んでくるA専務を振り切って帰宅した。

 C子がますます気に入ったA専務は、その後電話やメールでも執拗に誘った。既婚者なのに「愛人にならないか?」と口説き、断ると「彼氏がいるのか?」としつこく聞いた。

 困り果てたC子は、他の管理職やB社長にも相談を持ち掛けた。しかし皆一様に「それはC子さんがかわいいからだよ。A専務は適当にあしらっておけばいいんだよ」という具合で、まともに取り合おうとしなかった。そして入社3ヵ月後、とうとう嫌気がさしたC子は、会社を退職してしまった。

弁護士事務所で突きつけられた
セクハラの動かぬ証拠

 それから1週間後のことである。会社に1通の内容証明が届いた。宛名は弁護士からのもので、開封すると「C子さんはAさんと甲社に対して、慰謝料を請求する」という内容だった。B社長とA専務は驚き、あわてて弁護士事務所へ出向いた。

「何言ってるんだ!セクハラだって?そんな証拠、どこにあるんだよ!」とA専務は弁護士に対して息巻いた。

「証拠ならありますよ。ここに!」