ローンチから3ヵ月
マーケティング費用ゼロ

 実を言うと、この特徴的な仕事の進め方には名前がある。「アジャイル(機敏)」式というのだ。多くの日本企業が得意とする、ロードマップに従って粛々と進めていく仕事のやり方は、「ウォーターフォール(滝)」式だ。

女優ののんさんが出演したCMはネットで大好評だった。これも「ヒットするかどうかは未知数だけど、とにかくやってみよう」とトライした企画だ

 LINEのこの特徴は、プロモーションにもよく現れている。同社はCMに女優の「のん」さんを起用。6月13日には、サッカー日本代表戦で、彼女が1分間アカペラを披露するCMを流した。これがネットで話題になり、Youtube等での再生回数も10万に達した。

 しかし、そもそもネットで話題になるかはまったく未知数。多くの企業のように、市場調査をするなど、経営陣を納得させるロジックを事前に用意する…というような仕事の仕方を、LINEは志向しない。むしろ、面白いアイデアはどんどん形にし、実際に反応を見てみよう、というスタイルだ。プロモーションでも「大資本にお金があるなら、ウチはアイデアで知名度を上げる」という気概が見える。

 嘉戸社長が話す。

「我々は、ユーザーの反応を見ながら、『今』求められているサービスを考えるしかないんです。キャッシュバックもなく、店舗も少ない当社が生き残るためには、日々変化し続け、お客様にフレンドリーと感じていただけるサービスをつくるしかないのです」

 同社発表によれば、サービスをローンチした16年10月から17年2月にかけ、毎週の申込件数は1.5倍に増加している。一方、ローンチ直後の16年10月から3ヵ月間はマーケティング投資はゼロだった。即日受渡しが可能なカウンターを設置している家電量販店は、いまだ14店しかない。彼らは今のところ、予算規模が小さい中で必死の善戦を繰り広げていると言っていい。

 大ヒットアプリを世に出した「アジャイル」式の企業風土を持ったLINEモバイルは、大資本に勝てるのか。今後が楽しみだ。