ヤフー創業者との出会い
夜も眠れない経験をする

 ですが1995年12月、23歳の冬に僕の人生が百八十度変わる、そんな“事件”が起こりました。それが、米ヤフーを創業したジェリー・ヤンさんとの出会いでした。

 ヤンさんは「検索エンジンを作るんだ」と話していました。当時は「Yahoo!」とあっても、皆「ヤホーですか」と口をそろえていた時代。誰も検索エンジンの概念を知らないので、ヤンさんはこういう説明をしました。

 「僕の使命は、未来のニュートンの前でリンゴを落とすことだ」

 もし、ニュートンの前にリンゴが落ちずに、万有引力の法則が発見されていなかったら、その後の科学技術の発展は大幅に遅れていたかもしれません。

 そのため、ヤンさんは「これからの時代、ありとあらゆる人類の英智がインターネットの上に載ってくる。だが、その情報もパッと目の前に出てこなければ、それはないものと同じだ。このままでは、未来のニュートンやアインシュタインのような素晴らしい発明をする人たちにとって、人類にとって、ものすごい損失になるんだ」と言っていました。

 ガビーン。4歳しか違わない大学院生の言葉に胸を打たれ、僕はその夜、人生で初めて興奮して寝られないという経験をしました。

「僕にも事業のお手伝いをさせてもらえないか」とお願いし、僕の人生は大きく動き始めたのです。

 それからのおよそ20年間、数え切れないベンチャーの立ち上げに関わる日々を送ってきましたが、起業のきっかけといえば、このたった一つの出会いでした。