秋を代表する魚と言えば、秋刀魚です。
脂の乗った秋刀魚が、網の上でジューっと焼けているさまを想像するだけで、ゴクリと唾を飲み込んでしまう方も多いのではないでしょうか。
そんな秋刀魚が、なんと6000本+5000本。
9月4日(日)には被災地である岩手県宮古市から、9月18日(日)には宮城県気仙沼市から東京の目黒に届けられ、今年も「目黒のさんま祭(り)」が賑やかに開催されました。
平成8年からスタートしたこの祭、16回目を迎えた今年は、被災地復興の願いもあって、4日には30000人、18日には27000人と、昨年を大きく上回る来場者数があったそうです。
【材料】秋刀魚…2本/塩…少々/水…1カップ(200ml)/酒…0.5カップ(100ml)/みりん…大3さじ/醤油…大さじ3/梅干し…2個
【作り方】①秋刀魚は頭と腹を取ってきれいに水洗いし、塩を振って5分ほど置く。水気を切ってから、5cm幅の筒切りにする。②1を鍋に入れ、水と酒を注いで強火にかける。煮立ったらアクをすくって中火にし、みりんと醤油、ちぎった梅干しを種ごと加える。③落としぶたをし、煮汁がなくなるまで15分ほど煮る。
この祭を始めるようになったきっかけは、言わずと知れた古典落語『目黒のさんま』から。
江戸時代。とある大名が、馬の早駆けで目黒に行き、空腹を覚えたので、百姓家で焼きたての秋刀魚を分けてもらい、「こんなに旨い魚は初めて食った」と感激します。
その美味しさが忘れられずにいたところ、親類から食事会に呼ばれたのを機に、「秋刀魚の塩焼きなるものを所望したい」とリクエスト。
ところが料理人は、お殿様に出すものだからと、秋刀魚をわざわざ蒸して、脂を抜いてから塩焼きにしてしまいます。
カスカスの不味い秋刀魚を食べたお殿様、がっかりして、「この秋刀魚はいずれより取りよせたものぞ?」。「日本橋魚河岸にてございます」。「それはいかん。やはり秋刀魚は目黒に限る」。
日本橋魚河岸から取り寄せた一級品の秋刀魚が不味いわけはなく、殿様の無知を笑ったおとし噺です。