あなたのまわりにも“雑談が上手くよくしゃべるけど売れない”という営業マンがいるだろう。実は、雑談が足を引っ張っていることだってある。むしろ《雑談が得意》と思っている人こそ、注意が必要なのだ。

 雑談が逆効果になっている例を2つほど紹介しよう。

 まず一例目。両親の買い物の付き合いで、ある家具屋に行った時のことだ。私たちは事前に下見をし、買うものもほぼ決めており、入店して即、近くにいた50代後半でベテランの店員さんに声をかけた。

 その店員さんは接客にも慣れている様子で両親とすぐに雑談を始める。

「昔はこの辺りは家も道路もなく雑林だった」
「ここの地名は○○から来ている」

 などなど。世代特有の話題で心をつかんでいく。

 ここまでは非常に感じが良かった。

 しかし、地域の話から、学校、そして地元の政治家の話など雑談が次々に広がっていく。気づけば20分以上の立ち話になっていた。

 はじめこそ良かったものの、なかなか本題に入ってくれない店員にイライラしてきた。私たちは《その話はもういいから早く売ってほしい》と心から思ったものだ。その商品を気に入っていたこともあり購入したが、もし迷っていた商品ならば、買わずにお店を後にしただろう。

 その店員は《雑談で場を和ませたから売れた》と思っているかもしれないが、もう少しで“買うお客様”を逃すところだった。そんな危ういことをしているのに気がつかないのだ。