なぜ、あいさつをしないといけないのか。
すべてにちゃんと理由がある。

――ただ覚えるだけでは、もう意味がなくなってきている、と。

 子どもに、あいさつをしなさい、と言いますね。でも、どうしてあいさつをしないといけないのか、子どもは疑問に思わないのかな、と僕なら思う。そうすると、理由を教える必要があるわけです。

 あいさつというのは、敵が味方を決める儀式なんだ、と。あいさつをしないと、敵とみなされて斬り殺されても仕方がない。私はあなたを殺しませんよ、という合図が、あいさつなんです。

 それがわかると、外国に行っても行動が変わる。よくエレベーターの中で、外国人はあいさつしたり、目を合わせて笑顔になったりしますね。

 ところが、日本人は誰もいないフリをしてインジケータをじっと見つめていたりする。まるで相手がいないようにふるまう。これは、実は命が危ないんですよ。そういうことも、「人はどうしてあいさつをするのか」「どうして外国人同士はエレベーターの中であいさつするのか」を突き詰めて考えると、わかるわけです。

――すべてにちゃんと理由がある、ということですね。

 なぜ自分を磨き、高めておかないといけないか、高校生の男の子に質問されたことがありました。答えは簡単なんです。自分を磨いておかないと、将来いい女がつかまえられないよ、と(笑)。しかも人間の場合は、異性をつかまえるまでに、ずいぶん時間があるわけですね。自分を高める時間があるんだから、それは絶対にしておいたほうがいいんだ、と。

 高等動物ほど、セックスするまでに時間がかかるんですよ。そうでない動物は、さっさとセックスしてしまう(笑)。

 人間も時間がかかりますが、200歳まで生きるゾウガメは、オスが勃起するだけでも24時間かかるんです。そんなことをしたらメスが逃げるんじゃないかと思うんですが、メスも24時間待つんですね。すごい動物です。だから、200年も生きるんです。

 いろんなことを急かしちゃダメなんです。なんでも、すぐにやりゃいい、できりゃいい、ってもんではないんです。