“経営の神様”として知られる松下幸之助の妻、「松下むめの」の生涯を描いた感動の物語『神様の女房 もう一人の創業者・松下むめの物語』。高橋誠之助氏のこの原作をNHKがドラマ化、10月1日から3週間、3回にわたって放映されるのが、土曜ドラマスペシャル『神様の女房』である。
脚本は、大河ドラマなど大ヒットドラマを数多く手がけたことで知られるジェームス三木。松下むめの役には常盤貴子、松下幸之助役に筒井道隆、むめのの父・清太郎役に津川雅彦など、豪華な顔ぶれとなっている。さて、見所はどんなところなのか、プロデューサーの真鍋斎(まなべ・いつき)氏に聞いた(取材・構成/上阪徹)。


――まず、どうして、『神様の女房』のドラマ化をお考えになったのでしょうか。

 高橋誠之助さんの原作で、“経営の神様”として知られる松下幸之助さんを、目立つことなく支えておられた、しっかり者の奥さん、むめの夫人という人物がいたということを、教えていただいたんですね。

 松下幸之助さんは、もちろん日本有数の著名人の一人であり、経営論やリーダー論などの本もたくさん出されていますし、ドキュメントの映像などもたくさんあるんですが、むめのさんに関しては、ほとんど知られていなかった。それこそ、書籍が2冊ほどあるだけで、ほぼ無名と言ってよかった。そこがまず、興味深いところだったんです。

 さらに、幸之助さんという日本有数の有名人の身近にいたむめのさんという妻の目線からであれば、経営者としてなど公的なところではよく知られている幸之助さんについて、あまり知られていない部分にスポットが当てられるんじゃないか、と考えたんですね。

 プライベートな部分といいますか、もっと人間としての部分。そういうところに対する純粋な関心があった。これが今回の企画で、最も新鮮なところだったのではないかと思っています。

――ちょうど、松下幸之助さんが設立した松下政経塾出身の野田佳彦総理大臣が誕生したばかり。なんともタイムリーだと思うんですが、企画自体はいつくらいから始まっていたのでしょうか。

 実は当初から企画を進めていた担当者から、私は途中で引き継いだんです。ちょうどクランクインの少し前でした。

 企画自体は昨年の春くらい、もう一年以上前から進んでいたと聞いています。ところが、その間に震災があったり、政治がガタガタして日本が揺らいだりしました。とりわけリーダーについて、いろんな考え方が持たれるようになりました。

 ですから、まさに新しい時代のリーダーが必要になっているときでもあり、これからのリーダー論ついても一石を投じられるものになるかもしれない、ということは企画を引き継いで思いました。