“経営の神様”として知られる松下幸之助の妻、「松下むめの」の生涯を描いた感動の物語『神様の女房 もう一人の創業者・松下むめの物語』が刊行された。10月1日からは、ジェームス三木脚本、常盤貴子主演でNHKのドラマ化も決定した(土曜日夜9時より。総合テレビ・全3回)。
著者の高橋誠之助氏は、幸之助・むめの夫妻の最後の執事として、二人に臨終まで仕えた人物である。松下幸之助には数多くの著作・評伝などが残されているが、夫人については実はほとんど知られていない。五里霧中の商品開発、営業の失敗、資金の不足、苦しんだ人材の採用と教育、関東大震災と昭和恐慌、最愛の息子の死、そして戦争と財閥解体…。幾度も襲った逆境を、陰となり日向となり支え、「夫の夢は私の夢」と幸之助の描いた壮大なスケールの夢を二人三脚で追いかけていったのが、むめのだった。
この連載では、本書プロローグ全文掲載、著者インタビューなどを通して、小説「神様の女房」と小説の主人公「松下むめの」の魅力について、紹介していく。
著者
髙橋誠之助(たかはし・せいのすけ)
1940年京都府生まれ。1963年神戸大学経営学部卒業後、松下電器産業株式会社(現パナソニック)入社。主に広島営業所などで販売の第一線で活躍。入社7年目、29歳のとき突然に本社勤務の内示があり、「私は忙しい。松下家の家長として十分なことができない。それをきみにやってほしいんや。よろしく頼む」と松下幸之助直々の命を受ける。以来、松下家の執事の職務に就き、20年以上にわたり松下家に関する一切の仕事を担う。幸之助とむめのの臨終にも立ち会い、執事としての役目をまっとうする。その後、幸之助の志を広めるために1995年に設立された財団法人松下社会科学振興財団の支配人となる。2005年、財団法人松下社会科学振興財団支配人、定年退職。