業界関係者は(1)~(3)に加えて、「第一三共は都心の一等地である品川の研究所など、いろんなアセットを持っている。お買い得と見られたのでは」と推測する。

 重ねて言うが、第一三共は買収提案報道を完全否定している。だが、金融関係者の間では「提案を受けた第一三共が外資系証券会社に泣きついていたらしい」という情報などを根拠に、「取締役会にレターが送られてくる正式な買収提案ではないかもしれないが、やはり提案はあったようだ」との説がまことしやかに流れている。

 いずれにせよ、「再編が不十分で不完全燃焼の会社がいっぱいある」(クレディ・スイス証券の酒井文義アナリスト)とされる国内製薬各社に緊張が走ったのは確かだ。

 長らく医療用医薬品の公定価格である「薬価」制度に守られてきた国内製薬会社だが、現在議論中の薬価制度改革は「革新性」に重点を置き、特許切れの長期収載品で食いつなぐ有象無象の製薬会社を淘汰する方向に進んでいる。要は「新薬メーカーなのだから研究開発力で勝負せよ」と尻を叩かれているわけだ。

 そんな国内事情に鑑みて、業界関係者からは「もし第一三共が欲しいと思われたのなら、研究開発力を評価されたということ。日本の製薬会社として誇るべき」といった声も聞こえてくる。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 土本匡孝)