言葉の壁の問題もあって、「答えになってない答えばかり」と、ある株主は嘆いた Photo by Masataka Tsuchimoto

「納得できる会社側の説明はなかった」(兵庫県の30代男性)

「長谷川氏が残ってもいいが、来年もこんな業績なら責任を取って社長CEO(最高経営責任者)ともども去ってほしい」(京都府の40代男性)

 6月28日に開催された国内製薬最大手、武田薬品工業の定時株主総会。どんよりと曇るこの日の大阪の空のように、会場を後にする株主には煮え切らぬ顔が目立った。

 同社の株総には競合他社が偵察に訪れるほどに注目が集まった。外国人幹部の積極登用、相次ぐ海外大型企業買収など、グローバル企業へとかじ取りした長谷川閑史会長が相談役に退くことに関連し、一部株主から会社側に“けんかを売る”提案があったからだ。

 株主提案の要点の一つはガバナンス強化の観点から原則として相談役を廃止すること。もう一つは業績不振などの責任を取って「あくまでも会長の『解任』を求める」としたこと。社長就任(2003年)以降の長谷川氏の経営を真っ向から否定するものだった。

 提案したのは創業家筋の武田薬品OBら15人。「武田薬品が立ち直る最後の機会だ」と悲壮感を漂わせる訴えだった。