Photo:新華社/アフロ
先日、中国へ出張した際、上海の自宅近くにある中国銀行に立ち寄った。いつも比較的空いている店舗なのだが、それでも用件を済ませるには20~30分間はかかっていた。ところがこの日は、わずか5分足らずで済んでしまった。「曜日によってはこんなこともあるのかな」と自分なりに解釈した。
しかしその日の夜、あるニュースを読んで、銀行が空いていたのはひょっとして別の事情があったのではないかと思うようになった。
そのニュースによると、中国の主要銀行である中国工商銀行、中国建設銀行、中国農業銀行、中国銀行の4行は、運営コストを減らすために、約1万8000人のリストラを敢行することになったと報じていた。同時に、上場している16銀行のうち10行が減給措置にも踏み切るとし、銀行の経営破綻、特に中小の銀行が破綻リスクにさらされている、というのだ。
従来のビジネスモデルに
固執し崖っぷちの銀行
このニュースを読んで、納得した気がした。中国では電子決済がものすごい勢いで社会の隅々に浸透しているからだ。オーストラリアで発刊され、ビジネスと金融を中心に取り上げるオーストラリアン・ファイナンシャル・レヴュー (The Australian Financial Review) は4月19日、金融専門家の発言として「中国は世界でいちばん最初のキャッシュレスの国になるだろう」と報じた。
つまり、従来のビジネスモデルに固執していた銀行は、電子決済の勢いに押されて崖っぷちに立たされているのだ。