「2%物価目標」を達成することができず、金融緩和策を続ける日本銀行。しかし、その影響で「赤字決算」や「債務超過」に陥りかねない状況となっている。それに対し、政府と日銀を一つにして考える「統合政府論」を繰り広げ、日銀をまるで「打出の小槌」のように捉える人たちもいる。中央銀行とは何のためにあるのか──。
手のひら返しのごとく
懺悔するバーナンキ元FRB議長
今年5月、FRB(米国準備制度理事会)のベン・バーナンキ元議長が来日し、日本銀行の本店で講演した。そこで語られたのは、意外な言葉だった。
「私はよく分かっていなかった」「私は楽観的過ぎた」「私は以前の発言のいくつかのトーンを後悔している」
彼の口から数多くの懺悔の言葉が発せられたのだ。
かつて彼は日銀に対して、デフレ脱却のためのより積極的な緩和策を実施するよう、ほとんど罵倒に近い口調で勧めていた。
それに対し、日銀の黒田東彦総裁は、その言葉を全て取り込んで見せたばかりか、はるかに上回る大胆さで「超金融緩和策」を実施してきた。にもかかわらず、バーナンキ元議長の言葉は、まるで手のひらを返すかのようなものだった。