来年2月に任期満了を迎える米国の中央銀行、FRB(連邦準備制度理事会))のイエレン議長の後任人事がここへきて不透明性を増している。 なぜなら、これまで有力候補とされてきたゴールドマン・サックスの前CEOゲリー・コーン氏が脱落したとの見方が急浮上しているためだ。「再任」という見方もあったイエレン議長もその可能性が大きく低下したと見られている。「本命」とされた二人の脱落劇の後ろには、トランプ大統領の意向がちらつく。
有力候補2人が
相次いで消えて、混沌
ゲリー・コーン氏は、トランプ政権で国家経済会議(NEC)の議長に就任、経済政策の企画において中心的存在とされたこともあり、FRBの新議長に相応しいとの評価が多かった。
しかし、かねてトランプ氏と意見の相違が指摘されていた中、8月下旬のシャーロッツビルでの暴動に関してトランプ氏の対応を批判したことで関係が一段と悪化し、政権からの離脱を示唆したとの報道が一斉にされた。
筆者が今月初めにニューヨークを訪れた際には、市場関係者や有識者の間でコーン総裁の実現可能性に対する見方が大きく低下していた。
同時に、イエレン議長の再任可能性に対する見方も大きく後退した印象を受けた。