栄養ドリンク、野菜ジュース……いかにも体に良さそうに宣伝されている「健康食」には、大量の糖質が含まれている。「これ1本で1日分の野菜がとれる」というジュースには糖分がたっぷり。そもそも肝心な食物繊維も足りていない。体に良いと思って食べていたものが、実は体に良くなかった…。そうならないためにも、私たちには正しい食の知識が必要だ。20万人以上の臨床経験と、生化学×最新医療データ×統計データから、医学的エビデンスに基づいた本当に正しい食事法をまとめた牧田善二氏の新刊『医者が教える食事術 最強の教科書』から、内容の一部を特別公開する。

「和食=健康食」とは限らない
“ヘルシー”は都合よく解釈される

 いま、世界中で和食が注目されています。美味しいだけでなく「ヘルシー」だというのが大きな理由です。

 しかし、それは「和食」というよりも「日本人がつくる食事」と考えたほうがいいでしょう。海外の怪しい日本食レストランで出される巨大なにぎり寿司や、フリッターのように分厚い衣がついたてんぷらがヘルシーだとは、私には到底、思えません。

 さらに言うなら、「和食=ヘルシー」という認識自体が間違っています。たとえば、出張先のホテルで朝食をとるときのことを考えてみましょう。

「和定食」は、ごはんと味噌汁、焼き魚、卵焼き、漬物。
「洋定食」は、パンとジュース、ハムエッグ、サラダ、ヨーグルト。

 この2つから選ぶとしたら、どうも和定食は不利なのです。ごはんとパン、ジュースと卵焼きに使われている砂糖を考えると、糖質量についてはどっこいどっこいな感じです。

 一方で、和定食には圧倒的に塩分が多くなっています。第5回(2017.10.3)で紹介した近藤博士の研究結果でも、漬物など塩辛いおかずでごはんを多食している地域は短命であることがわかっています。

 一口に「和食」と言っても、いろいろあります。もし、あなたが和食と聞いて思い出すのが、刺身やしゃぶしゃぶであったり、わかめの酢の物であるのなら、たしかにヘルシーです。しかし、ごはんと味噌汁と漬物であるなら、とてもヘルシーとは言えません。

 おそらく、私たちにとって本当にヘルシーな和食とは、第4回(2017.9.28)で解説したように、縄文人が食べていたようなものなのです。