突然怒り出した妻は
愛娘を針で刺し続けた
娘(3歳)と2人きりで過ごす、普段通りの夜だった。
夫の正俊さん(仮名・38歳)は仕事で、帰宅は連日10時を回る。
「さあ、やるぞ」
午後7時。夕食の片づけを終えた薫子さん(仮名・35歳)は、張り切った様子でパソコンの前に座った。彼女は最近、市が主催するカルチャークラブで知り合った友人に誘われ、仲間4人と共にあるトークイベントの開催に取り組んでいる。今夜はトークのテーマを考えて、仲間たちへのプレゼン用書類を作成しなくてはならない。
すぐそばで、絵本をめくっている娘。まだ字は読めないが、読んでいるつもり。可愛らしい声で、何やら楽しそうにしゃべっている。
……1時間が経過した。思考はまったく進まなかった。あれこれ思いつくテーマは、どれもありきたりでつまらない。
(こんなんじゃ馬鹿にされる)
そう焦るほど、頭は働かなくなる。
娘は寂しくなってきたのだろう。「ねえ、ママ」と、しきりに話しかけてくる。無理はない。1時間も一人遊びするなんて、普段では考えられない。母子はいつも、夕食から寝るまでの時間、楽しくおしゃべりしているのだ。