対話において、相手の言うことをよく聞くこと、すなわち「傾聴」が大事であるとは、しばしば指摘される。当たり前のことのようだが、これが意外と難しい。今回は、「傾聴」のし方について、解説しよう。
なぜ、「傾聴」が重要か
ビジネスにおいても、あるいは子育てにおいても、信頼関係の構築が大事だということが、ますます語られるようになってきました。部下指導でも、子どもの教育でも、上から下へ知識や経験則を伝えるだけでは十分な育成ができなくなってきたという話も絡んでいます。では、信頼関係を築く上でもっとも重要なこととは何でしょうか?
もちろん、答えは一様ではありません。だた、私が尋ねられたとしたら、最初に思い浮かぶのは「傾聴」です。人の話をちゃんと聞くということです。言葉にすると、とても単純なことのように聞こえますね。しかし、影響力は極めて大きいと考えています。
みなさんは、傾聴という語から、どんな様子を思い浮かべますか? 相手の話に熱心に耳を傾けている様子でしょうか? それとも、静かに神経を集中させている様子でしょうか? だとすると「熱心に」や「神経を集中」とは、具体的にはどんな聞き方なのでしょうか?
話をよく聞くことが大事だということがわかったとしても、問題はここからです。 「一生懸命に聞くこと」をやってみてくださいと言われたらどうしますか? 真剣に聞こうとするとか、神経を集中させるといった、聞き手側の内的な努力を思い浮かべるかもしれません。
しかし、ここで重視したいことは、聞き手側のスタンスよりも、話し手側が実際にどう感じているかです。いくら聞き手が必死に聞き取ろうと努力していても、その姿勢が話し手に伝わっていなかったら「傾聴」にはならないというところがポイントです。話し手は、相手が聞いてくれていると感じ取れることで、はじめて話し続けることが動機づけられるからです。
ヤフー社内からの相談でも、傾聴がトピックになることが少なくありません。どんな相談になるのか、典型例を対話にしてみました。