大手のエレクトロニクス企業や防衛産業企業においてサイバー攻撃の被害が明るみになるなど、ネットワークセキュリティに対する脅威は複雑さを増す一方だ。現在のネットワーク環境では、たとえ日本国内や地域内だけで事業展開しているような中小企業であっても、海外からのサイバー攻撃やコンピューターウイルスなどのセキュリティリスクに無縁ではいられない。

 企業のセキュリティ対策は進んできてはいるが、世界中で起きる新たな脅威の登場に対して、常に最新の情報に基づいた対策を求められているのが現実だ。大手企業のようにセキュリティの責任者を置けるだけの人材の余裕や十分な資質を備えた人材を持てない中小企業では、問題はいっそう深刻だ。セキュリティ対策は完全に現場任せで、全社を見渡してどこにどのようなセキュリティリスクがあるかを把握することや、従業員向けのセキュリティ教育の実施など、経営的な視点から必要なセキュリティ対策に着手できている企業はどれほどあるだろうか。

 セキュリティ対策のなかでも、ウイルス対策ソフトは、企業規模を問わず導入が進んでいる分野といえるだろうが、中小企業でのその導入の実態は心もとない。セキュリティソフトの世界的な先進企業シマンテックの日本法人が実施した調査(2010年)によると、従業員100名以下の企業においては、コンシューマ向けのパッケージソフトが利用されている割合が57.4%と半数以上あるのが実態だ。

 パソコンのセキュリティ管理が個人任せだと、最新のウイルスに対応するための情報のアップデート対応にばらつきが生まれ、社内のセキュリティ対策に穴を生じさせ、ウイルス感染を招きかねない。また、さまざまな種類の製品が導入されていたり、ライセンスの更新管理も1台ごとに対応する必要が生じるなど、運用管理のうえでも煩雑になる。

 つまり、中小企業におけるセキュリティ対策では、専任の管理担当者でなくとも集中管理ができるシステムであり、加えて、過分なコスト負担が求められないことが望まれている。