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企業向けITは「自動運転」の時代が来るのか

――「Oracle Open World 2017」現地報告

ダイヤモンドIT&ビジネス
【第157回】 2017年10月4日
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自律型データベース開発の経緯を語る、ホアン・ロアイザ システム・テクノロジー担当シニア・バイス・プレジデント

 オラクルのホアン・ロアイザ システム・テクノロジー担当シニア・バイス・プレジデントによれば、自律型データベースの導入効果は概算で「人件費は半額以下、可用性は99.995%以上」が可能になるという。

 この機能は、人に代わってマシンラーニング(機械学習)によってデータベースの状態を常にチェックすることで実現している。

 また、分析機能の向上でセキュリティも強化された。仮に通常は考えられない地域からのアクセスがデータベースにあったとしても、それが正しいのかを判定して不審なアクセスを遮断することができる。

 クラウドコンピューティングは、利用するユーザー側の負担を大きく減らしたが、クラウドを運営する事業者や、自社でクラウドシステムを構築する側から見れば、従来通りの人的な作業の積み重ねによってサービスを維持管理していることに変わりはない。むしろ「裏方」の負担は大きくなっている。エリソン氏が行ったオラクルの提案は、将来の「完全自動IT」へのビジョンを示したともいえる。

ITを自動化し、統合することで
新しい挑戦へ企業資源をまわす

企業ITを統合し、複雑さを解消したいと語るマーク・ハードCEO

 ITの自動化を進めなければいけないというオラクルの主張には理由がある。企業がデジタル変革を進めるためにつぎ込むIT投資が、ほとんど人件費で消えていく現状だ。

 企業のIT投資のうち、新規ビジネスのために使われるのはわずか15%程度で、約85%は既存ITの維持管理にかかっていると言うのだ。この比率を改善し、イノベーションを生み出す投資を増やすことが企業の競争力に直結する。だが実際は「その15%ですら、CEOが苦しくなると真っ先にカットされる恐れがある」(マーク・ハードCEO)というから、状況は一向に改善していない。

 「自律型DBの効果は、データベースの技術者を煩雑な運用の作業から解放し、新しい開発に力を入れられることだ」とエリソン氏は語る。

 マーク・ハードCEOも、「企業が個別のサービスに強い企業のポイントソリューションを導入していった場合、個々のシステムの接続が必要で結果的に企業のITは複雑化してしまう。消費者が車を部品単位で組み立てないで、自動車ディーラーから車というシステムを買うように、企業のITも全体が統合されたシステムを導入するほうが安定する。オラクルが目指しているのは一貫したシステムの統合だ」と語った。

 成長の源泉を絞り出すために、テクノロジー企業としてオラクルが示したIT自動化と統合のビジョンは、企業にとって1つの明るい方向性を感じさせるものだろう。ただ日本の大企業の多くは、ITの開発と運用をシステム会社に委託しており、企業側が直接ITを変革するリーダーシップを発揮できるのかが問われることになる。

モスコーニ・センター一部オープンのセレモニーにエド・リー サンフランシスコ市長が登場、「これまでの開催で、市にもたらされた経済効果は累計で30億ドルにも達する。今後もOOWによって市の経済は助けられることに感謝したい」とスピーチした

(取材・文/ダイヤモンド・オンラインIT&ビジネス 指田昌夫)

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