今年は株で勝つ! 投資家が陥る“PERの罠”と、回避するたった一つの思考法
ゴールドマン・サックスに入社し、マネージング・ディレクターに就任、アジアのトレーディングチームを率いた。その後、200兆円超の運用残高を誇る世界有数の機関投資家・ゆうちょ銀行で投資戦略を牽引。そんなマーケットの最前線を知り尽くしたトレーダーが、個人投資家が一生使える「オルカン」「S&P500」の“次の投資術”を徹底指南した初の著書『最後に勝つ投資術【実践バイブル】 ゴールドマン・サックスの元トップトレーダーが明かす「株式投資のサバイバル戦略』(ダイヤモンド社)。投資初心者でも実践できるよう、徹底的にわかりやすく投資手法を体系化。ゴールドマン・サックス仕込みの「投資思考」や「オルカン+4資産均等型」といった実践的なポートフォリオ(資産配分)の構築方法、有望な個別株の見つけ方まで、「オルカン」「S&P500」の“次に知るべき”ノウハウが満載!
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広義のバリュー(割安)性
PER20倍の壁――「良い会社」が高すぎる時
ビジネスモデルが秀逸で成長性が高くても、多くの場合、すでにそのビジネスモデルの優位性が株価に織り込まれています。そうなると、株価が上がりにくくなります。
このような会社は、PER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)が割高になる傾向があります。日本市場では平均PERは歴史的に12~17倍程度で推移している期間が長いです。
そのため、業種にもよりますが、PER20倍を超える水準になると、株価が割高な銘柄だと私は感じています。
「未来の割安」を買う――成長力が起こすPERのマジック
ただし、単純に指標で判断するのではなく、その会社の成長性をより深くみる必要があります。
伸び盛りで、純利益が2年後に5割伸びると考えられるような場合は、たとえ現在PER20倍と割高な水準でも、2年後にはPER13倍程度になる可能性があります(PERは「株価÷1株当たり純利益」で算出されますから、分子〈株価〉が変わらず、分母〈純利益〉が1・5倍になれば、PERが20倍から13倍になります)。
このように、現時点の指標からバリュー(割安)性を判断するだけではなく、業績の成長性を加味して広義のバリュー性を判断する必要があります。
単なる「数字合わせ」ではなく、企業の未来を現在価値に換算する。これが「広義のバリュー性」の真髄であり、投資家としての想像力が試される局面です。
「静的」な割安と「動的」な割安
通常のスクリーニングで見える現在のPERは、いわばバックミラーに映る過去の景色(確定した利益)に基づいた「静的」な数字です。
一方で、私たちが目指すべきはフロントガラス越しに未来を見る「動的」な視点です。たとえ今のPERが高くても、利益成長のスピードが速ければ、数年後の株価に対するPER(取得価格ベース)は急速に低下します。
「今の株価が高いか安いか」ではなく、「数年後の成長した姿に対して、今の株価は安いと言えるか」という時間軸を取り入れた思考を持つことで、投資対象の選択肢は大きく広がります。



