日本人が座りすぎ世界1位なのは前回お伝えしたとおり。第1回目で説明したように、座りすぎが糖尿病や脳梗塞、はてはガンの原因にもなっていることが判明した今日、改善が急がれる。だが、日本人の座りすぎとなる原因を探ると、そこは日本人の「働き過ぎ」ということに行きつく。仕事とはいえ、座りすぎが命の危険に直結することを自覚するためにも、座って仕事をすることの恐ろしさを認識しよう。
今回は座りすぎ研究の第一人者、岡浩一朗・早稲田大学スポーツ科学学術院教授の著書『長生きしたければ座りすぎをやめなさい』から、座って仕事をすることの健康への悪影響について紹介する。

職場環境が糖尿病やガンの原因だった!
「血液ドロドロ」にならない働き方とは?

 デスクワークの人で、重たい荷物を持ったり歩き回ったりしたわけでもないのに、夕方になると「なんだか疲れた」「ダルい」といった倦怠感に襲われたり、不調を感じたりすることはありませんか。

 これは『長生きしたければ座りすぎをやめなさい』で訴えた、病や死までも招く「座りすぎ」が原因かもしれません。この「座りすぎ」への危機感が世界的に高まる中、本当はどこよりも早く対策を講じなければならないが、前回ご紹介したように主要国との比較調査で1日の座っている長さが世界1位だった日本です。

 そもそも、なぜ日本人は世界一座りすぎるのか? 

 その原因は、生活が便利になったことに加え、もう一つ、日本人の勤勉さ、真面目さが挙げられます。そう、日本人は働きすぎで座りすぎになっている側面もあるのです。

 1日に10時間以上働くフルタイム男性雇用者の割合は、2011年の時点で43.7%ですが、このうちデスクワーカーは勤務時間の約7割を座って過ごすと言われます。10時間以上働けば、仕事だけで7時間以上じっと座り続ける可能性があるわけです。

 しかも、日本人は残業もとびきり多く、職場での残業時間は1日あたり92.3分です。なんとこれ、米国やフランスの約3倍です。もしも残業が深夜におよべば、トータルの座っている時間は17時間近くになるかもしれません。

 そうなれば、さすがに体がきつくなり、「疲れた」「なんだか体がだるい」など自覚症状があらわれ始めます。座りっぱなしでいると、足の血流がみるみる悪化し、その影響が全身に広がるのです。

 実はこれ、エコノミークラス症候群の前兆ともいえる変調なのです。