いま、国内外のメディアが盛んに取り上げる「座りすぎ」の問題。前回は、世界中で注目を集めるに値するほど、座りすぎが健康に与える影響が深刻なことをお伝えした。毎日の習慣化してしまった座りすぎが、糖尿病、高血圧、心血管疾患、そしてガンといった死に直結する大病を招いていることに衝撃を受けた人もいるでしょう。
でも、この問題を最も申告に受け止めるべきは日本人です。なぜなら日本人は世界一座っている時間が長い国民だからです。
それでも、「私は営業職で座る時間は少ない」と思っている人もいるかもしれません。しかし、多くの日本人は正確に計測すると起きている時間の半分以上を座ってすごしていることが多いようです。はたして、あなたはどれくらい座りすぎているのか?
座りすぎ研究の日本における第一人者、岡浩一朗(早稲田大学スポーツ科学学術院教授)著、『長生きしたければ座りすぎをやめなさい』から、日本人の座りすぎる実態と、それが招く死や病について紹介します。
30分以上ですでに「座りすぎ」
知らず知らずに万病を招く恐怖!
世界中のメディアがさかんに取り上げ、「現代人特有の命を縮める要因」として脚光を浴びている「座りすぎ」は老若男女、すべての人にかかわる問題です。
座ったまま何時間も過ごすことは現代人にとって日常で、テレビやパソコンの前に座っていると30分や1時間などあっという間です。作業に夢中で、あるいはテレビのスポーツ中継に夢中になって、気がついたら何時間も座ったまま……そんな経験があなたにもあるはずです。
他にも、車や電車での移動、スマホ、会議、食事やだんらん、授業や映画鑑賞など長く座る機会はいくらでもあります。
そんなごくあたりまえの「座る」という行動様式が、タバコやアルコールを凌ぐほど危険で、WHO(世界保健機関)でさえ「世界で年間約200万人の死因になる」と警告するのだから、ただ事ではありません。
「1時間座ると22分余命が縮む」
衝撃の研究結果を意識しよう
「座りすぎが死因になるとは、思ってもみなかった」
「まさか! テレビやパソコンの前にただ座っているだけで寿命が短くなるなんて……!」
初めは、そう思うかもしれません。座りすぎの健康被害が取り沙汰されるようになったのは、ごく最近のことなので、ほとんどの方は座りすぎの弊害をまだ知らないか、最近のテレビ番組やネット記事などで初めて知ったのではないでしょうか。
誤解してはいけないのは座ること自体は問題ではなく、「座りすぎ」と「座り続ける」ことが問題なのです。でも、甘くみてはいけないのは、座りすぎというのは数時間というレベルではないのです。30分以上続けて座れば、それだけで血流や代謝は悪化して健康リスクが高まるのです。「1時間座り続けると22分、残りの命が削られる」という世界に衝撃を与えた研究結果を、われわれはもっと意識するべきでしょう。