兼業可能か見極める
3つの条件
働き方改革の流れを受けて「副業」に注目が集まっている。副業どころか、複業時代といわれる昨今だ。経済産業省では、2016年11月に研究会が発足し、実態や優良事例を調査し、今年5月には企業の取り組み事例を公表している。
ときに、昨日10月22日は折しも衆議院議員総選挙の投票日であった。誰もが知るように、小池百合子氏は国政政党である「希望の党」の党首と都知事を「兼業」している。それについて、巷ではさまざまな意見が飛び交っている。
ちょうどいい機会なので、今回はどんな仕事なら兼務が可能なのかということについて考察してみたい。結論から言えば、私は重要な職であっても兼業という働き方は可能だと考えている。ただし、兼業する「それぞれの仕事の性質」「サポート体制」「当人の習熟度」、という3つの条件に適合するという条件付きである。
第一に、まず、おのおの仕事を「環境の安定性」と「仕事の独立性」という二つの軸で考えたい。環境の安定性というのは、会社や組織が置かれている事業環境が安定している「平時」なのか、あるいは日々状況がめまぐるしく変わる「戦時」なのかということだ。仕事の独立性は、周りの変化に強い影響を受けて自分の仕事も変わるような仕事か、周囲の変化からは独立して遂行できる仕事なのかの違いである。
上の図で言えば、一つの仕事がIならば、その仕事をやり遂げるのも相当大変だ。自分の業務の内容やスケジュールも前もって予測できない。兼業しようと思っている片方がIであるならば、もうひとつの仕事が少なくともIIIの安定性と独立性が必要だ。この組み合わせでも実際はかなり厳しい。IIとIIIの組み合わせなら大分楽になる。