食生活や価値観が猛スピードで変化している中国では、下着をはじめとする生活必需品のトレンドも様変わりしつつある。日本では揺るぎない地位を誇る下着メーカー大手・ワコールも、中国市場では試行錯誤を続けている。中国人女性のハートを掴む下着を開発・販売するために、日系メーカーはどう戦えばよいのか。ワコール(上海)研開中心有限公司の今井浩・董事・総経理に詳しく聞いた。

日本の「常識」を持ち込まない
中国では中国人女性に合った下着を

ワコール(上海)研開中心有限公司の今井浩・董事・総経理

――ワコール研開中心有限公司の中国における事業展開を教えてください。

 ワコール(上海)研開は、ワコールが中国で販売する商品の研究開発を行なうため、2002年に設立された会社です。中国沿岸部を中心に北から南まで、5000人の中国人女性の体の測定データをベースに、中国人女性に合う下着商品の研究開発を行なっています。

 日本のワコール本社にも、「日本人女性に合う下着を作る」という目的で1964年に設立された「ワコール人間開発研究所」という組織がありますが、その中国版です。

――中国人女性の体型は、やはり日本人とは違うのですか。

 日本人女性の体が楕円柱なのに対し、中国人女性の体は断面が丸いため円柱なのが特徴です(日本人よりも中国人の方が、体格がいいとも言えます)。その体型の違いがバストの形にも現れます。

 日本人女性の両胸は前を向くのですが、中国人女性の場合は、右胸は右、左胸は左と外を向きます。バストカップの大きさ自体は日本人と中国人は変わらないのですが、中国人の方がアンダーバストが太い(日本人標準70cm、中国人標準75cm)のも特徴です。また、ウェストにくびれがある日本人と比べて、中国人はウェストにくびれがあまりない寸胴型です。