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 フルタイム労働者における長時間労働は、確かに、図1より低下傾向がなだらかであるが、バブル期のピークからかなり低下している点や、最近、過去最低を更新している点には変わりがない。

 以上の統計的観察から、電通の過労死事件から長時間労働による弊害がクローズアップされているが、それは長時間労働が増えているからとは言い難い。

 これだけ過労死問題が新聞紙面に多く登場しているのに、長時間労働が増えているという推移グラフが付されている場合が見当たらないのは、むしろ、そうした事実がないことの証しであると見た方がいいわけである。「長時間労働は減っているが、過労死の問題は一向にその重要性を減じていない」とコメントすればいいだけなのだが、報道機関はストレートでない報道を避ける傾向にあるのである。

世界中でも目立つ
日本の長時間労働とストレス

 このように長時間労働は減ってきているが、それでは仕事のストレスも少なくなってきているのであろうか。この点を共通の調査を使ったISSP国際調査の結果から調べてみよう。

 ISSP調査は何年かおきに同じテーマで調査を行っている。最新の公表分は、2015年に行われた「仕事と生活についての国際比較調査」(英語表記Work Orientation)であり、過去には1997、2005年に日本も参加して国際調査が行われている。