議論が活発な「働き方改革」の余波は、今や肉食系・キャリア志向の猛者が集うはずの「外資系金融機関」にまで及んでいるようだ。シティグループ日本法人が勤怠管理強化を決めた理由や、外資金融マンのホンネに迫った。(「週刊ダイヤモンド」編集部 竹田幸平)
「外資系金融機関」といえば、仕事一筋でバリバリ働くキャリア志向の猛者が集まるイメージを持つ人も多いだろう。特に、企業のM&A(合併・買収)やIPO(新規公開)に関わるアドバイザリー業務、株式や債券の引受業務などを担う「投資銀行部門(IB)」では、とりわけ若手において膨大な資料づくりなど作業量が多く、連日連夜仕事に追われる“激務の象徴的な存在”と目されている。
翻って、今の日本。政府などの動きをみると、長時間労働の是正や労働生産性の向上を目指す「働き方改革」の議論が活発だ。2015年12月に過労で自殺した電通新入社員の高橋まつりさん(当時24歳)を巡り、労働基準監督署が昨年9月に労災認定して世間からの注目度が高まったこともあり、働き方を再考する日本の大企業が増えつつある。
実はこうした働き方改革の余波が、今や外資系金融にも押し寄せている。直近では、法人向けの銀行業務や投資銀行業務などを展開するシティグループの日本法人が、8月28日に本社機能を丸の内から大手町のビル内に移転したのに合わせ、勤怠管理を強化していくことが分かった。日本の拠点で働くグループの全社員が対象になるという。
外資系金融の社員は基本的に年俸制で、出勤時間が増えても、残業代が上乗せされるわけではない。ただシティ側は「社員の健康に過度なリスクが及ばない」ために、との名目で、会社側がこれまでより出退勤の時間を厳格に管理し、むやみに長時間働く人が増えないように仕組みを改める。