デジタル・ネイティブでなければ
わからないことがある

岡島悦子さん

岡島 大企業の意思決定が保守的なのはいまに始まったことではないと思いますが、ベンチャー投資や新規投資になかなか踏み切れないのには2つ原因があると思っています。ひとつは、端的にテクノロジーリテラシーの欠如。もうひとつは意思決定のしくみの不備。テクノロジーについて本質的な意思決定ができる人がいない。自分がわからないなら人に任せればいいのですが、アドバイザーなど、意思決定に巻き込むべき人の目利きもできない。

 50代、60代の人がデジタルツールを使いこなせないという意味ではなく、SNSを駆使する時代に育ったデジタル・ネイティブとは、テクノロジーで実現できることに対する直感的な理解度に決定的な差があるんです。40代以上とそれ以下には大きな年齢の壁があると思います。ですから今回の著書でも「社長は40歳でなるべき」ということを強く言っているのです。デジタル・ネイティブ世代が意思決定の権限をなかなか持てないのは、大企業では、年功序列が溶け切っていないことに起因していますね。

平井 ある大手企業の若手の人が、「部長以上が全員辞めてくれたら、会社は即座に変わるだろう」と言っているのを聞いたことがあります(笑)。

岡島 2012年の新体制で大幅な役員、幹部層の入れ替えで若手を抜擢したヤフーのように、まったく違う角度から会社を変える意志がなければ変革は難しいですね。そして、大企業のベンチャー投資がなかなか活発にならない2つめの理由である意思決定のしくみの不備ですが、さっきおっしゃったように部長決裁では無理だから、と10人も20人もいるような取締役たちに決裁を仰ぐとなると、必要とされる事業のスピードに追いつきません。

 顧客の潜在的なニーズである顧客インサイトを汲み取って、現場が上げてきたアイデアをアジャイルで、PDCAをどんどん回しながら事業プログラムをつくっていくことが求められる時代です。失敗を恐れて無難な判断だけしていたらイノベーションなど生まれるはずもない。トップの権限で、その場その場で即断即決していかなければならないのです。それに関してはやはりオーナー企業は強いですね。