長く生き残る企業と消えてしまう企業が分かれる決定的な差は、「社長の資質」に他ならない。あなたの会社や取引先の会社の社長は、大丈夫だろうか。国内最大手の信用調査会社・帝国データバンクで長年、企業の信用調査に関わり、このほど著書『「御社の寿命」あなたの将来は「目利き力」で決まる!』を上梓した藤森徹・情報統括部長が、「危ない社長」を見極める方法を徹底解説する。藤森部長が6月にダイヤモンド・オンラインへ寄稿した記事「危ない会社を見抜く『目利き力』養成講座」は、読者から大きな反響を得た。今回はその続編として、「経営者の資質」をクローズアップする。(構成/中村宏之・読売新聞東京本社調査研究本部主任研究員)

あなたの会社や取引先は大丈夫?
「会社をつぶす社長」を見抜く法

企業の浮沈は社長にかかっている

 長く生き残る企業と消えてしまう企業が分かれる、その決定的な差は何か――。様々な考え方があるでしょうが、最終的には社長のリーダーシップとその力量に行き着くのではないでしょうか。

 最近も、投資判断の誤りから業績が急速に傾き、大規模なリストラを迫られている企業や、決算の数字を意図的に操作して損失先送りを積み重ね、広範囲にわたる不適切会計が問題となっている企業など、社長に起因する問題を抱えた著名企業が相次いでいます。まさにトップの判断ミスが、企業経営の根幹を揺るがす事態を招いているのです。中小企業でもずさんな経営は後を絶たず、社長の資質は以前にも増して厳しく問われています。

 自分が勤める会社や取引先の会社の経営者がまともかどうかは、ビジネスマンにとって把握しておくべき最も重要なことの1つです。今回は、危ない会社の危ない社長はどんな特徴を持っているのかについて、詳しく解説しましょう。

 帝国データバンクでは、全国にいる約1700人の調査員が、調査依頼のあった企業を直接訪問し、社長や経営幹部に面会するほか、社内の様子、人や荷物の出入りなども細かくチェックしています。また、決算書などの財務諸表の分析や業績のヒアリング、会社登記情報、取引先の評判などをまとめて、企業の成績表とも言える「点数」(評点)をつけています。

 では、帝国データバンクはどのような観点で企業の信用状態を調査し、判断しているのでしょうか。そのポイントを解説しましょう。