実は、先シーズンあたりからこの現象はユニクロファンにはお馴染みになりつつあるようだ。今回の場合、9月に製品発表があった段階で「どのタイプが売り切れそうか」がネット上で話題になり、発売当日は、ユニクロオンラインの書きこみでも争奪戦が話題になったのである。

 ちなみに今年の争奪戦には私も参戦してイネス、ルメール両方とも入手したかった製品の最後の方の在庫をなんとかゲットできている。争奪戦記を別の記事に書いたので、ご興味のある方はそちらも楽しんでほしい。

 本記事では、ユニクロの経営の視点からこの売り切れ現象を検討してみたい。イネスやルメールとのコラボ商品は、おそらく通常商品ほどの在庫を用意することができない。

 というのも、ユニクロがたくさんの在庫を抱えられる最大の理由が、粗利率が50%前後と異常に高いことにある。仕入れ値が安いから、たくさんの製品を安心して店頭に置けるのだ。ところが、有力デザイナーとのコラボの場合はライセンス料が高いぶん、在庫も慎重かつ保守的に、つまり少なめにしなければいけない。その結果、有力商品が発売週に即完売という現象が起きるのだ。

ユニクロは魔法の
クリスタルボールを探り当てたのか?

 ところがその裏で、ユニクロが手に入れた「クリスタルボール」が機能し始めている。ゴールドラット博士が少ない在庫でも機会損失を最小にできる道具をクリスタルボールと呼んだことは前述したが、ユニクロの場合、スマホで提供しているユニクロアプリがその機能を果たしている。

 今年3月「あなたの手のひらに、世界最大のユニクロがオープン」として登場したユニクロアプリは、オンラインで商品が注文できるだけでなく、近隣店の在庫も検索できる機能が付いている。そのため、店頭在庫が切れている場合でも、消費者はスマホを使って買物を続けてくれる。

 私の体験から、何が起きているかをお伝えしよう。まず私は、イネスの2017年秋冬物の新作の3つボタンジャケットが欲しいと思った。そう思ったが羽織ってみなければサイズやデザインが合うかどうかはわからない。そして、お店に出かけることができたのは発売3日目の日曜日。大型店限定在庫は続々となくなっている。

 そこでユニクロアプリで調べてみると、新宿近辺では唯一、ユニクロ新宿西口店にLサイズの在庫があることがわかったので、そこに出かけてみた。羽織ってみたところ、サイズは微妙。いいような気もするが、もうひとつ上のXLサイズの方がフィットするかもしれない。しかしXLサイズは店頭にはない。