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「エンゲージメント」は気持ちの問題ではない
企業の業績を伸ばす決定的な指標だ

――マルケト スティーブ・ルーカスCEOに聞く

ダイヤモンドIT&ビジネス
【第74回】 2017年11月1日
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顧客は企業に管理されたくない

――とはいえ、マルケトを入れるだけで、すぐに営業とマーケティングが連携できるわけではありません。マネジメントとして、何をしなければいけないのでしょうか。

 まず、時代が大きく変わったということを認識しなければいけません。まさにマルケト創業から現在までの約10年間で、営業活動とマーケティング活動の構図は様変わりしました。10年前のマーケティングの仕事は、広告を出して、見込み客のリストを作って営業に渡すことでした。そして営業は、顧客が求める情報を提供品が商談を進めるという棲み分けができていました。

 ところが現在の顧客は、デジタルの世界に生きています。1人の営業だけで、顧客の情報を全て集めることはできません。顧客のあらゆるデジタルのタッチポイントの活動は、デジタル時代の消費者の旅(ジャーニー)と呼ぶこともできます。

 こうした顧客への対応を、企業は1人2人でなく、大規模に行う必要があるわけですから、デジタルの仕組みを導入しなければ不可能だということを、経営者は認識しなければいけません。マルケトを使えば、マーケターは顧客のあらゆるチャネルの情報を読み込んで把握することができます。モバイル、ソーシャル、Web、などすべてです。その情報を組み合わせて、行動モデル(プロフィール)を作り上げることができるのです。そして、顧客に最適化したキャンペーンを打つことができます。

――企業は顧客情報の管理にCRM「顧客情報管理システム」を使用してきましたが、それとはどう違うのですか?

 CRMの世界では、企業は顧客をコントロールできていたと思っていたのですが、顧客がデジタルの環境を駆使するようになり、顧客が持つ情報量が圧倒的に増えました。もはや顧客が営業に提案を求めるような機会はほとんどなくなり、顧客が企業を選ぶ時代になりました。顧客の立場で考えてみると、顧客は最初から「企業に管理されたい」とは思っていなかったのです。

 そして、いま顧客が選んだ企業は、顧客とより強い絆、つまり「エンゲージメント」で結びついています。ある調査では、顧客の79%が、『“私”を理解し、大切にしてくれるブランドだけを検討する』と答えています。エンゲージメントが商品やサービスの売れ行きを決めるのです。これが我々の言う「エンゲージメント・エコノミー」です。

 エンゲージメント(愛着・思い入れ)と言っても、単に顧客に対して丁寧に接して評判をよくするという意味ではありません。実際のエンゲージメント・エコノミーでは、デジタル技術を用いて企業と顧客の接点をもれなく収集し、数値化することで、個々の顧客が企業に対してどういう思いでいるのかを推定し、個別の対応をしていきます。画一的なメールを顧客リスト全部に対して送り、その反応から有力顧客を絞り込んでいくような従来のマーケティング手法とは一線を画するものです。

 実例を挙げますと、GEヘルスケアは、マルケトのソリューションによって総額20億ドルの営業機会を得て、その結果得られた売上は6億ドルにもなると発表しています。セールスとマーケティングの境界を取り払い、顧客のエンゲージメントを高めた企業は、これほど収益を向上させているということです。

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