分煙が徹底されていない

「タバコの煙で喘息になった人がいる」(40歳・男性/事務系/北海道)

「ワンフロアのオフィスでタバコを吸う人がいて、タバコの煙が蔓延し、タバコを吸わない人が煙のストレスで身体をこわした」(29歳・女性/事務系/大阪府)

その他

「結核の人が会社に隠し仕事をしていた」(48歳・男性/公務員/千葉県)【視力低下・めまい、体重低下・食欲不振】

 目に見える健康被害を受けた報告は、アスベストによる疾患などごく一部。それに対して、「ストレスチェックが徹底されていない」(6.7%)、「分煙が徹底されていない」(1.6%)など、「未病」のための制度・環境が会社で整っていないことを問題視する回答が少なくなかった。

マネジメント不在で放置
働く人たちの「本当の不満」

 こうした調査結果からは、1つの仮説が立てられる。会社の成り立ち・制度や自身の職務といった「変えようがない、あるいは変え難い状況」を、病気・体調不良の原因と感じるビジネスパーソンは、それほど多くないということだ。彼らがより問題視するのは、「人間関係の悪さ」「労働時間の多さ」といった、現場のマネジメントで比較的容易に改善できるであろう問題に、一向に目が向けられない状況である。

「病は気から」と言うが、この調査結果は、「病気・体調不良になるのは職場の配慮が足りないせい」というビジネスパーソンの潜在的な不信感を、色濃く反映したものと言えないだろうか。それだけ、現場でのマネジメントが社員の健康管理の上で重視されなければいけないということだ。

 現在、企業経営の指標の1つとして「社員の健康」を重視する風潮が、日本企業にも広まっている。社員の心と体に配慮することは、現場のモチベーションを上げ、仕事の生産性を向上させ、会社全体を成長に導くための重要な経営戦略の1つであることが認識され始めた。

 国も「健康経営」を実践する企業や団体の後押しを始めた。経済産業省は彼らを「健康経営優良法人~ホワイト500~」として認定・表彰したり、東京証券取引所と共同で「健康経営銘柄」に選定したりと、啓蒙を進めている。

 しかし、トップが「健康経営」の旗を掲げても、それを実現するためのマネジメントが現場に根付いていない企業はまだまだ多い状況がうかがえる。これからの時代、就活や転職をする人は、「体によい会社」「悪い会社」という視点で働く場所を見極める必要があるかもしれない。

「自分の身は自分で守る」しかない職場で、あなたは仕事をする気になるだろうか。

(ダイヤモンド・オンライン副編集長 小尾拓也)