バブルの夢再び?不動産大手が海外投資を加速する理由米国マンハッタンの再開発事業、ハドソンヤードのパース図。2棟を三井不動産が手掛ける 提供:三井不動産

 大手不動産が、海外の開発投資に向けアクセルを踏み込んでいる。

「ライバルと比較すれば、うちは周回遅れ。小さな一歩だが、これで具体的な開発案件を精査できる」

 先月、大手不動産3社の中で、海外進出で出遅れていた住友不動産が、同社海外事業部に米国と欧州、アジアの各担当部を新設。それぞれのトップには開発畑のエキスパートを送り込んだ。

 住不はバブル期に海外に攻勢をかけたが、現在はほぼ撤退。今後の投資時期や投資規模は未定だが、海外再挑戦の準備を整えた格好だ。

 そのもくろみを冒頭のように明かす住不が「さすが」とうらやむのが最大手、三井不動産。

 米国マンハッタンで進む、総事業費250億ドルと同国でも最大規模の再開発事業、ハドソンヤード(HY)。その地で三井不は9月、来年に竣工を予定するオフィスビル、55HY(仮称)に続き、50HY(同)への参画を決めた。

 竣工予定は2022年で、事業シェアは9割。総事業費約4000億円は、同社の営業利益のほぼ2年度分に当たる。延べ床面積26万平方メートルは、マンハッタンでも最大クラスで、三井不の海外事業における旗艦物件となる。なお、三井不の15~17年度の中期経営計画では、海外に5500億円を投じる計画だったが、それを上回る5700億円になる見込みだ。