訪中のたびに驚く
リアル書店の充実ぶり

 カフェだけではない。昨今、中国を訪れるたびに驚くのは書店の充実ぶりだ。北京や上海の地下鉄に乗っていると、よくスマホで動画を見ている人を見かける。

 ドラマだけでなく、スマホの小さな画面でネットのニュース記事を読んでいる人も多いが、書店に足を運んでみると、案外多くの人が熱心に本を選んでいてびっくりする。また、書店の什器やディスプレイも洗練されていて、つい長居したくなるような雰囲気なのだ。東京で例えていうと、代官山の「蔦屋書店」のような感じといえばイメージしやすいだろうか。

大連の書店。カフェとコラボしている

 今年5月、大連のショッピングセンター内で2軒の新しい書店を見つけたので入ってみた。1つは「中信書店」という以前から全国にある書店チェーンだが、店の入り口には本とセットで雑貨が展示されていた。

 例えば山登りのムック本と一緒にリュックサックや登山用のおしゃれなランプがディスプレイされていて、販売もしているという具合だ。店内の奥にはドライフラワー教室や油絵教室の案内もあり、書店とコラボして集客に一役買っている。

 カフェも併設されていて、買ったばかりの本をカフェで読んでいる人がいたり、書店の中に階段椅子とクッションが置いてあり、そこに座って購入前の本を読んだりしている人もいた。 いわゆる複合型の書店だ。

大連の書店にある絵本売り場

 もう1軒の書店では、店の奥には児童書専用の売り場と遊び場が設置されていた。店で売られている本と同じものがサンプルとして置かれており、それは読み放題。

 階段椅子に座って絵本を読む母親と子どもの仲睦まじい姿があり、私もそこで一緒に中国の絵本を読んでみた。つまり、ネット書店のように、書店がただ本を売るだけの場所ではなく、本や本に関連する商品を手に取って、雰囲気も含めて楽しむ場に変貌していたのだ。最近では24時間営業の書店も増えていて、カフェや階段椅子に座って、長時間、書店に滞在する人も多い。書店はネットに流れた客をリアル店舗に引き戻そうと見せ方を工夫したり、イベントを開催したりという努力をしているのだ。

 ここ数年、中国は「リープフロッグ現象」でIT化が加速し、リアル書店は廃れてきたのだろう、と思い込んでいただけに新鮮な驚きだった。

 以前、東京に住んでいたこともある上海在住の女性の友人はこういう。