男女の友情「下心あって当然」 鴻上尚史が語る男女の友情について男性からの意見を語る、鴻上尚史さん

 男女の友情は成り立つのか、は永遠の課題。若い頃は面倒くさいことがあった異性との関係も、50の声を聞く頃から「いい友達になれてきた」とサバサバ話す女性たちが多い。一方で男性のほうは、いくつになってもすぐに恋愛関係に持ち込みたがるフシもあり、男女の友情観には違いがあるようだ。Reライフマガジン「ゆとりら秋冬号」では、作家で演出家の鴻上尚史さんに男性代表として意見を聞いた。

 男女の友情がお互い下心がない相手としか成立しないものだとしたら、それはそれでどうなんだろう。そんな相手といっしょにいて楽しいのかな。

 この世代になると、人って過去しか向いていないタイプと未来を志向し続けているエネルギッシュなタイプの2種類に分かれると思うんです。会って話をして楽しいのは、やはり後者。下心があるということは、エネルギーに満ちあふれている証拠ですから、そういう人といるのは楽しいんですよね。逆に下心がない人は、ある意味、人生にも前向きな意欲を失っているところがある。それでは、友達としての魅力もないでしょう。

 男女問わず友達にはいろいろなレベルがあって、ただ時間をつぶすだけの友達もいれば、会うたびに何らかの刺激を与えてくれる友達もいる。どうせなら自分は刺激を与え合うような相手とつきあいたいというのなら、二人の間にある種の下心的なものはあってあたりまえですよね。だって、人間としての魅力と異性としての魅力は、はっきり線引きができるものじゃない。この人ともっと話したいな、もっと知りたいな、と思う気持ちがもてない相手とは、お茶一杯すらつきあいたくないでしょう。